三色説と反対色説

色彩検定2級トピック

人間がどうやって色を知覚しているかについては、古くから様々な研究が行われてきました。そのような色覚説の中から、いくつか重要な説を見ていきましょう。

 

ヤング – ヘルムホルツの三色説

イギリスの医師ヤングの仮説を、ドイツの生理学者ヘルムホルツが発展させたものが三色説です。

これはR(赤)G(緑)B(青)の光にそれぞれ反応する受容体が網膜上に存在して、この3種の反応のレベルと組合せとによって、色が知覚されるという仮説です。

ヤングはRGBそれぞれを単独で感知する物質を想定していましたが、ヘルムホルツは、受容体はRGBの光を感知できるが、それぞれ得意な光が違う、と考えました。

反対色説(四原色説)

一方、ドイツの生理学者ヘリングは、ヤングとヘルムホルツの三色説に異議を唱えました。もし、色の知覚が3色の視物質によってなされるものだとしたら、ないはずの色が見える補色残像の説明がつかないためです。

ヘリングが考えた説は反対色説と呼ばれます。これは

  • 赤 – 緑
  • 黄 – 青
  • 白 – 黒

の3対の反対色を知覚する物質が目の中に存在する、というものでした。存在する受容体の数は3つと三色説と等しいですが、その振る舞いが違います。

光を受容した時、これらの視物質は対になっている色のどちらかに反応します。橙の光を感知した時は、「赤 – 緑」の受容体は赤の反応を示し、「黄 – 青」の受容体は黄色の反応を示すわけです。

4色の感知を行うので、四原色説とも呼ばれます。

「青みの黄」が存在できない理由は、つまり青と黄色が反対色だからであるからです。イメージとしてはPhotoshopのカラーバランス調整のUIなんか近いでしょうか。色はちょっと違いますが。

Photoshop

 

三色説と反対色説は、全く違うようで、3つのパラメーターを使用して色を認識する、という点では一致していました。しかしこの論争は、思わぬ方向に向かいます。

 

段階説

現在では、R、G、Bの3色を感知する錐体細胞の存在が明らかになっています。そのため錐体細胞の段階では、ヤング – ヘルムホルツの三色説が正しいと言えるでしょう。

一方で、反対色のチャネルを処理系統に持っていると、補色残像を含めて上手く説明ができる実験結果も多いため、錐体細胞の処理に続く上位レベルの処理として、ヘリングの反対色説に該当する処理が行われていると考えられています。

この二つの説を合体させた、段階的な認識処理を行っているという説を段階説と呼びます。

 

デジタル制作のためのカラーリファレンス