ローアンバー【カラパレ色事典】
イタリアの唯一の内陸州ウンブリアの、天然土による顔料がになっている色名ですね。umberであって、琥珀色(amber)ではないので注意。それにしても生(ロー)の土を使った顔料って、なんだか大地の力を感じられそうで素敵ですね。使ってみたい。(本サイトはデジタルメインですが)
ネープルスイエロー 【カラパレ色事典】
いやあ、卵たっぷりのフェットチーネみたいで美味しそうですね。ネープルスはイタリアのナポリの英語名ですが、一説にはヴェスヴィオス火山の作る硫黄などの鉱物の色とも。ただし確固たる証拠なしです。この色の顔料は古くは紀元前のエジプトでも製造法が知られ、人間が扱っていたもっとも古い「絵の具」の一つです。
シャルトリューズグリーン 【カラパレ色事典】
フランスのシャルトリューズ修道院に伝わる、100を超えるハーブを混ぜ合わせた、美しい緑色をしたリキュールの名前が元の色です。緑色は多かれ少なかれ自然の神秘性を持つ色ですが、由来がそれを後押ししますね。(個人的には、薬用酒はそんなに好きじゃないですが)
藤色 ふじいろ 【カラパレ色事典】
藤色はもちろん藤の花の色です。美しく咲き乱れる藤は、華やかな桜と違って、より優美で淑やかです。紫は洋の東西を問わず高貴な色として扱われていますね。日本最大の貴族・藤原氏の中にも、藤の花の家紋を使っている家が見られることが、藤の高貴なイメージを支えています。
縹色 はなだいろ 【カラパレ色事典】
『延喜式』では、藍と縹の区別が記されており、縹は藍100%で染められた青とされています。元々「青」の古語が「はなだ(花田)」でした。とある花から染めた色だったからです。そのはなだ色は、この藍で染めた濃い色よりも、もっともっと淡く薄い水色でした。
煤竹色 すすたけいろ 【カラパレ色事典】
長期に渡り煤けた竹の色です。茶色の例に漏れず、江戸時代に「伽羅煤竹」「南京煤竹」「藤煤竹」などの派生色がわんさか現れました。ちなみに黒ずんだ煤竹が、まさかの素材として重宝された分野があります。茶道です。茶筅(シャカシャカするやつ)に煤竹を利用している流派もあるのです。何だか、わびさびですな。
海松色 みるいろ 【カラパレ色事典】
岩に生える海藻の一種ミルに由来する色です。確かに松の葉っぱに似ています。画像の模様は海松模様(海松紋)といわれるもので、着物などに使われます。また、他の色の例に漏れず、江戸時代には海松茶、海松藍などの色名が現れます。ミル? なんだそれと思いきや、意外と日本文化に根付いている海藻です。
甕覗き かめのぞき 【カラパレ色事典】
ぱっと見、意味不明な色名ですね。藍色の染料の入った甕に布をさっとくぐらせることを「覗く」と表現した色です。別に甕を重ね染めた濃い藍色に比べて安価で染められたため、薄い青の羽織はちょっとバカにされていたようです。綺麗なのに……
常磐色 ときわいろ 【カラパレ色事典】
千歳緑(せんざいみどり)とも。松や杉などの常緑樹の緑からきています。同様の意味を持つ西洋のエバーグリーンは、クリスマスなんかに飾られるヒイラギなんかの色です。松だろうがヒイラギだろうが、そこにあるのは、常に色衰えない、力強い自然の神聖さなのです。
刈安色 かりやすいろ 【カラパレ色事典】
古代から染色に使われていたカリヤスの名前の由来は「刈りやすい」から。なんて雑なネーミングなのだ。飛鳥時代の「衣服令」ではこの色は庶民の服の色として定められています。確かに農民感が…… そう、秋に実った稲穂の色であることも含めて。
朽葉色 くちばいろ 【カラパレ色事典】
「朽葉四十八色」と言い、枯れ葉の色を基にした朽葉色にも、赤朽葉、青朽葉、黄朽葉など多くの色名があります。そこらへんの物から色名を取っていた昔は、色彩豊かな落ち葉の色は、低彩度色をまとめて名づけるのに都合が良かったのでしょう。
柑子色 こうじいろ 【カラパレ色事典】
柑子蜜柑の色です。柑子は吉田兼好の『徒然草』の「神無月のころ」に実がたわわに実っている様子が描き出されています。冬の風情ですね。今の温州みかんに比べて、ちょっと色も薄く優しめです。なんだかほっこりします。
海老茶 えびちゃ 【カラパレ色事典】
伊勢海老の海老色の派生色である海老茶は、明治時代に女学生の袴の色として流行し、紫式部をもじった「海老茶式部」という言葉まで生まれました。エビという語感や伊勢海老のおめでたいイメージを含め、暗い茶色なのになんだか陽気な色です。
鳶色 とびいろ 【カラパレ色事典】
茶色の文化が花開いた江戸の色です。この色をベースに紫鳶や紅鳶など、様々な色が派生していきました。男性の着物として流行したその理由は、トンビの精悍なヴィジュアルにあるのかもしれませんね。
蘇芳 すおう 【カラパレ色事典】
実際の古代からの染物の蘇芳色はもっと紫がかったものかと思います。飛鳥時代の官服を定めた「衣服令」では紫の次に偉い服色として定められているこの色は、シルクロードの香りが漂う、海外ブランドの証なのです。
韓紅 からくれない 【カラパレ色事典】
千年の歴史を持つこの古風な色は、中国から渡って来た(紅花)ベニバナに由来します。紅花の古名は「末摘花」ですが、実際の花よりも鼻の赤い源氏物語の登場人物の名として有名でしょう。
鴇色 ときいろ 【カラパレ色事典】
学名ニッポニア・ニッポン、朱鷺の風切羽の美しい薄桃色を表した色です。かつては日本各地に見られたこの鳥は、そこらに鴇色の贈り物をばらまいていたのかもしれません。