オストワルト表色系

色彩検定1級トピック

オストワルトの表色系はPCCSとも、マンセル表色系とも違います。正確に言うと、PCCSがマンセル表色系とオストワルト表色系を折衷して作られているともいえるので、オストワルト表色系の中になじみのPCCSの片鱗を見ることもできるでしょう。

しかし、オストワルト表色系は「混色系」です、注意。PCCSやマンセルは、人間が色区別・認識できる色票を一定のルールで並べてそれに値を付けた「顕色系」でしたね。一方で、オストワルト表色系は複数の色を特定の比率で混ぜ合わせて色を作り、その値を持って色を指定する「混色系」のカラーシステムです。

オストワルト表色系で混ぜる色は以下のものです。

  • 白色
  • 黒色
  • 純色(つまり各色相の代表色)

 あ、確かにこの3つを混ぜれば色んな色が作れますね!

そして、オストワルト表色系の色相の数はPCCSと同じで「24色相」となっています。PCCSはこのオストワルトの24色相を参考にしているわけですね。

 

ではなぜオストワルトは、色相環を分割する数字を24にしたのでしょうか。

 

「オストワルト=調和は秩序に等しい」

 

色彩調和のところでやりましたね、これを思い出してください。24は約数がとても多い数字です。2でも、3でも、4でも、6でも、8でも、12でも割ることができます。つまり、ジャッドの「秩序の原理」にあるように、特定の感覚で色をピックアウトしやすいのです。

さすがオストワルト。このがっちりした感じがブレない。(そしてこの色を理屈で解決させる態度は、パウル・クレーを始めとした一部の芸術家たちの反感を買うことになるわけですが)

それでは、オストワルトの色相環と等色相面を、詳しく見ていきましょう。

 

オストワルトの色相環

オストワルト表色系の色相環のプライマリーカラーとなるのは、赤、緑、黄、青の四色、つまり「ヘリングの反対色説」「心理四原色」です。

ヘリングの反対色説、覚えていますか? 人間の目が R・G・B の光だけで色を感じているのだとしたら青を見続けた後に何もないところに黄色が見えるのはおかしいだろ! 反対色(補色)との関係で色を認識しているに違いない、という説でしたね。

 オストワルトの色相環はこの赤、緑、黄、青を十字の位置(テトラード)に配置します。 そしてその4色をさらに8分割することで24色の色相環を作ります。

この色相環の向かい合っている2色は補色であり、混ぜ合わせると無彩色になります。

 

オストワルトの等色相面

オストワルトの色空間では、等色相面が横向きの正三角形をしています。正三角形の等色相面を特に「当色相三角形」とも言います。等色相面の各頂点はPCCS等と同じです。つまり以下のような感じです。

  • 上の頂点が白、下の頂点が黒、そして垂直の軸が明度を表す
  • 横を向いている頂点が色相の純色であり、水平の軸が彩度を表す

まず、無彩色の列(顕色系でいう明度の列)の仕組みから見ていきましょう。

オストワルトは綺麗な明度レベルを作るために、白と黒の混合比率を一定の割合で変化させていけばよいと考えました。機械的ですね。機械的ですが、理にかなってはいます。

 無彩色の列は、一番下を黒色として、1マス上に上がるごとに、白色の比率が1.6倍ずつ増えていきます。そして一番上が白色になる、というわけですね。

 

オストワルトの色立体

この白と黒を結んだ無彩色の軸を中心にぐるっと回転させて色立体を作ります。色相によって明度に差があるPCCSと違って、オストワルト表色系は明度が固定なので、綺麗に円錐を二つ重ねたような二重円錐形になります。

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