グラスマンの法則と加法混色

色彩検定1級トピック

グラスマンの法則とは、ドイツの数学者グラスマンがまとめた加法混色に関する法則です。いきなりですが、内容を見ていっちゃいましょう。グラスマンの法則は4つの法則から構成されています。(本などによって、法則の順番は異なるかもしれませんが、番号は重要ではないです)

グラスマンの法則

  • 法則① 色の三色性
  • 法則② 色の等価性
  • 法則③ 色の加法性
  • 法則④ 色の連続性

色彩関係も、名前を見てイメージできる法則と、名前が抽象的過ぎてよくわからない法則がありますが、これは明らかに後者ですね…… まあ、でも丁寧に見ていけはそんなに難しくないはずです!

 

① 色の三色性

色の世界で3色といわれたら、ひとまずR、G、Bであることが多いでしょう。グラスマンの法則、「色の三色性」とは

互いに独立した3つの色刺激を適切な比率で加法混色することで、任意の色を作り出すことができる

という法則です。3つの色は特に規定があるわけではないのですが、基本的にはR、G、Bの3色で考えます。さて、ここで「刺激」という単語が出て来ました。

  • 色刺激
    目に色(無彩色含む)を感じさせる可視光線。
  • 原刺激
    混色に使用するもとの刺激。要するに色刺激の原色。
  • 三刺激値
    混色に使用する3つの色刺激の値。要するにRGB値。

 

刺激、というとなんだか視細胞とかの生物学的な何かかと思ってしまいますが、とりあえずここでは単純に「色」だと思ってもらえれば問題ないと思います。加法混色に使う色光です。

「互いに独立した3つの色刺激」

というのは、他の色刺激を混ぜ合わせても作ることができないオリジナルの色刺激です。原刺激、R・G・Bですね。

3つの原刺激を混ぜ合わせて、特定のある色の生成を以下の式で表すことができます。

 

グラスマンの等色式

” R [R] ” の部分を取り上げると、

  •  [R]:原刺激
  •   R  :混合される刺激の量

となっており、言葉で書くと、

[R] の刺激を R の量、[G] の刺激を G の量、[B] の刺激を B の量、混合すると色光 [C] と人間の目には同じ見える

ということです。この、同じ色に見える状態を2つの色が「等色」していると言います。

 ちなみに、式の両側を結んでいるパチもんのイコールみたいなやつは、全く同一のものではなく見た目上同じであることを示しています。

「へえ~そうなんだ~初めて見た~」というあなた! 残念ながら合同記号(≡)は中2の数学でお目にかかっているはずです。数学で出てきた合同は、大きさは違うが形が全く同じ図形を指していました。

 

② 色の等価性

2色が等色状態であったとします。とある色を、その2色に対して加法混色した場合も、2つの色は等色します。

なんか、難しそうですね。でも全然難しい話ではないです。いったん、おなじみの色光の三原色を見てみましょう。

色光の三原色

単色光を組み合わせて見てみましょう。例えば、

① 緑色の波長(約550nm)+ 赤色の波長(約700nm)= 目には黄色に見える

です。一方で、当たり前ですが、

② 黄色の波長(約580nm)= 目には黄色に見える

ですね。よって、①と②は、波長成分は違っても等色しています。

では次に、①と②に同じ青の光を加法混色してみましょう。

① 緑色の波長(約550nm)+ 赤色の波長 (約700nm)+ 青色の波長(約430nm) = 目には白に見える

② 黄色の波長(約570nm) + 青色の波長(約430nm) = 目には白に見える

それだけのお話です。

このように、分光分布が違う波長を組み合わせて、見た目上全く同じ色になっている状態を、「条件等色」または「メタメリズム」と言います。

 

③ 色の加法性

色の等色性で分かるように、中身の波長が違っても等色させることができます。そして、中身の波長がどうであれ、見た目上が何色かで、加法混色のルールに従って混色できます。

これにより、色の加法性、というものが成り立ちます。言葉で説明すると「複数色の加法混色で得られる色の三刺激値は、元の色の三刺激値のそれぞれの和となる」わけです。

まず、色光 [C]色光 [D] 色光 [E] の加法混色で作られるとします。そして、

色光 [D] ≡ R1 [R] + G1 [G] + B1 [B]

色光 [E] ≡ R2 [R] + G2 [G] + B2 [B]

 

だとしたとき、色光 [C] は  R1 [R] + G1 [G] + B1 [B] と R2 [R] + G2 [G] + B2 [B] を全部合わせてしまえば作ることができます。

さすがにちょっと、それだと乱暴なので、式にしてみましょう。

色光 [D] + 色光 [E] ≡ (R1+R2) [R] + (G1 + G2) [G] + (B1 + B2)[B] 

こんな感じですね。

④ 色の連続性

最後の色の連続性は、これまでの法則が分かっていれば簡単です。加法混色に使用した元の色光の刺激値を変えてあげると、混色の結果作られた色の刺激値も同じように変化します。

例えば、

色光 [C] ≡ R1 [R] + G1 [G] + B1 [B]

だとして、赤の光 [R] を少しずつ強くしていったとします。そうすると、色光[C] の赤みもそれに応じて増加していきます。

 

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